インサイドセールスとは?BtoB営業の現代版
デジタルコミュニケーションツールの台頭や、リモートワーク環境へのシフトに伴い、現代の営業戦略にインサイドセールスは必要不可欠となっています。インサイドセールスから読み解く現代版のBtoB営業は、営業プロセスの最適化を目指す組織にとって極めて重要で、この記事では、インサイドセールスの基礎知識、現代に至るまでの背景、そしてメリットを分かりやすく解説します。
インサイドセールスとは?フィールドセールスとの違い
インサイドセールスは企業によって定義が異なるものの、基本的には遠隔で製品やサービスを販売するプロセスのことです。主に電話営業、メール営業、SNSやビデオ会議などのデジタルコミュニケーションツールを使って行います。
従来のフィールドセールスは、顧客に会うために先方のオフィスを訪問することです。
企業によってインサイドセールスとフィールドセールスの定義が異なりますが、近年では:
- インサイドセールス = デジタルコミュニケーションツールを使ったアポ獲得
- フィールドセールス = 商談からクロージングまで
を範囲として役割分担する組織が多くなってきています。
インサイドセールスの主な特徴
- テクノロジー主導:CRMシステム、営業自動化ツール、デジタルコミュニケーションツールなど、テクノロジーを駆使する効率を大幅に改善することができる。
- データ主導:デジタルツールの使用により、営業活動の詳細な分析が可能になり、データに基づいた意思決定が可能になる。
- リモート営業で効率化:遠隔地から営業活動を行うため、移動時間や出張の必要が少なくなる。
- 管理できるリード数の増加:リモートで営業することで効率化を測ることができ、より多くのリードや顧客管理をすることができる。
インサイドセールスの現代に至るまでの背景
インサイドセールスの概念は、テクノロジーの進歩やユーザーのニーズに合わせて直近10年で大きく変化してきました。
初期の頃のインサイドセールス:
- 電話営業:インサイドセールスのルーツとも言える電話営業は、電話を使って潜在顧客にアプローチする方法で、質より量が求められました。
- コールセンター:電話営業が主流だったため、より多くの量をこなすためにコールセンターが台頭し、インサイドセールスに大きな発展をもたらしました。営業チームは一箇所から働き、台本化されたやりとりで企業の受付を突破することを目的に営業が行われました。
テクノロジーによる進歩:
- CRMを使った顧客管理:顧客管理システム(CRM)の導入は、顧客とのやりとりや、データを一元管理することを可能にし、チーム内で簡単にリード情報、営業活動のモニタリング、分析を共有することができるようになりました。
- インターネットと電子メール:インターネットと電子メールは、新しいコミュニケーションチャネルを作り、インターネットを使って手軽く潜在顧客をリサーチし、電子メールで簡単に連絡できるようになりました。メールマーケティング、リードジェネレーション、ナーチャリングのための強力なツールとして使われるようになりました。
現代のインサイドセールス:
- ソーシャル(SNS)を使ったコミュニケーション:Instagram、Twitter、Facebook、LinkedInなどのSNSプラットフォームは、営業担当者が潜在顧客と直接関係構築することと、コンテンツの共有を可能にしました。特にLinkedInは、各業界のプロフェッショナルが業界ニュースなどを配信し、B2B営業にとって関係構築と最新ニュースを知ることで重要なプラットフォームとなっています。
- 営業の自動化:営業活動を自動化するツールは、フォローアップメールの自動化、データ入力、リードジェネレーションなど多岐の領域で進歩しています。今まで工数がかかっていた作業を自動化することで、関係構築やクロージングと行った価値の高い活動に集中できるようになりました。
- AIの台頭:AIと言っても幅広いですが、特に最近ではOpenAIのChatGPTなどLLMを使って、リサーチ業務や台本作成の効率化に大きな変化を起きています。
インサイドセールスとフィールドセールスの主な違い
どちらも、顧客との関係を構築して収益を上げることを目的としたチームですが、いくつか違う点があります。
インサイドセールス | フィールドセールス | |
営業プロセス | より構造化された反復的なものであることが多く、デジタルコミュニケーションを使用します。 インサイドセールスの担当者は通常、リードジェネレーション、リードクオリフィケーション(リードの選別)、ナーチャリング(意欲を高めること)とクロージングまで、決められたプロセスに従うことが多いです。 | 対面でのやり取りが多く、出張や移動が必要になることが多く、担当者はより柔軟なアプローチが可能で、顧客の具体的なニーズに基づいて営業プロセスをカスタマイズすることができることが多いです。 |
顧客とのやりとり | 電話、メール、オンライン会議などを使用し、やりとりが短く頻繁に行われることが多く、セールスサイクルを通じて複数の接点を持つことが多いです。 | よりパーソナルな接触を通じて深い関係性を築くことに重点を置くため、顧客とのやりとりは長くなることが多く、顧客のニーズ理解やそれに応じた柔軟性のある売り込みが必要となります。 |
コストと効率 | 出張費や移動費が削減され、テクノロジーを駆使して多くのリードに対応できるため、極めるほど費用対効果は高くなりやすいです。チーム内でプロセスを構築することでさらにスケールメリットを得ることができます。 | 出張などの移動費だけでなく、営業サイクルの長期化でコストはよりかかることが多いですが、大きい案件や大企業への営業には向いています。特に、成約までに関わる関係者が多く、複雑な案件ほど効果的です。 |
チーム構成 | リードジェネレーション、アカウントマネジメントなど専門別に役割分担する組織が多いです。 一元化された大人数の編成を組むことが多いです。 | 少人数で分散化されたチームが多く、担当者それぞれのテリトリーやアカウントを持つことが多いです。 |
現代の営業戦略におけるインサイドセールスの役割
インサイドセールスは、現代の営業戦略において重要な要素となっており、現代のビジネス環境に合致した独自のメリットを提供しています。
- 適応性
- リモートワーク: コロナの流行によって加速したリモートワークへのシフトは、インサイドセールスの有効性を一部証明したとも言えます。チームはどこからでも活動でき、顧客と対面で会わなくても生産性と顧客エンゲージメントを維持し、成約までできることが分かりました。
- テクノロジーの統合: AIを活用したツール、データ分析ツール、CRMシステムなど、最新のテクノロジーを活用して効率性を高めることができます。営業プロセスにテクノロジーを統合することにより、データ主導で市場環境や顧客の変化に迅速に対応することができるようになりました。
- 効率性とスケーラビリティ
- 手数の多さ: より多くのリードや顧客に対応することができるため、取り組みの規模を拡大し、より幅広い市場にリーチすることが容易になります。このスケーラビリティは、オフィス費用や人件費を大幅に増加させることなくリーチを拡大したい企業にとって特に良いです。
- 費用対効果: 出張や面談の必要性が減るため、大幅なコスト削減につながり、より多くの潜在顧客にリーチできるだけでなく、成約までの営業サイクルが短いことが多いため利益率とROIの改善が期待できます。
- データ主導の意思決定
- 分析: デジタルツールを使用することで、営業活動の詳細な追跡と分析が可能になり、顧客行動、営業実績、改善点に関する数値的洞察が得られます。営業リーダーは、これらのデータに基づいた意思決定を行い、戦略を最適化することができます。
- パーソナライゼーション: データに基づいたよりパーソナライズされたコミュニケーションが可能になり、成約率と顧客満足度を高めることができます。顧客の行動を読み解き理解することで、特定のニーズに合わせてアプローチをカスタマイズすることができます。
- エンゲージメントの強化
- タイムリーなフォローアップ: リードや顧客にタイムリーにフォローアップすることで取引を成立させ、長期的な関係を構築することを可能にします。フォローアップを自動化したり、次のステップを自動的にスケジュールすることで工数少なく、タイムリーにフォローアップすることができます。
まとめ
インサイドセールスは、現代の営業戦略において重要な役割を担っており、フィールドセールスとは違うメリットがあります。特に営業方法の違いや、テクノロジー・データが主導になることで、売上の成長と営業目標の達成に近づくことができます。営業環境が進化し続ける中、インサイドセールスは競争の激しい市場で成功するために、ますます重要な役割を果たすようになると考えます。
インサイドセールスチームの構築を始めたばかりでも、既存のプロセスを最適化したいと考えている場合でも、インサイドセールスのメリットと最新情報を知ることが成功への第一歩となります。