
営業活動の中で、最も重要でありながら多くの営業担当者が避けたがるのがプロスペクティング(アポ取り)です。多くの営業チームにおいて、はじめのうちは意欲的に取り組んでいたものの、次第にモチベーションが低下し、気づけばほとんど実施されなくなっている…という状況がよく見られます。
特にリモートワークが普及した今、チームメンバーが分散して働いている場合、リーダーが直接監督することが難しくなり、営業担当者がアポ取りを後回しにすることも増えています。その結果、見込み客が不足し、売上が停滞するという負のスパイラルに陥る企業も少なくありません。
では、どうすれば営業チームが継続的にアポ取りを実施し、安定した成果を生み出せるのか?今回は、実際にリモートで営業チームを率いるリーダーの課題をもとに、効果的なアポ取りの仕組みやモチベーション管理の方法について解説します。
1. アポ取りを「日常会話」にする:営業文化の醸成
まず最も重要なのは、営業チームの文化としてアポ取りを根付かせることです。アポ取りが単なる「やらされる仕事」になっていると、営業担当者はすぐに手を抜いてしまいます。しかし、「これをやるのが当たり前」という文化ができれば、自然と継続できるようになります。
毎日のミーティングでアポ取りの重要性を話す
リーダーとして、アポ取りの重要性を毎日伝えましょう。たとえば、朝のミーティングや終業前の振り返りの場で、「今日のアポ取りの成果は?」「どのリードが有望だった?」といった話題を必ず出すようにします。
最初は「またこの話か…」と思われるかもしれませんが、繰り返し伝え続けることで、営業担当者の意識に定着していきます。
2. 「集まる時間」を設定する:オンラインでもリアルな一体感を作る
オフィスで働いている場合は、営業チーム全員が同じフロアに集まり、一斉に電話をかけることでモチベーションを高められます。しかし、リモート環境ではこれが難しく、個々の営業担当者が孤独に作業することになり、手を抜いてしまうことも少なくありません。
そこで有効なのが、オンライン上で「集まる時間」を作ることです。
ZoomやTeamsを活用して「バーチャルコールチーム」を作る
たとえば、毎朝8:00からZoomで全員が集合し、カメラをオンにした状態でアポ取りを開始するといった仕組みを作ることで、一体感を生み出せます。
また、リーダーが進行役となり、メンバーがどのようなリードにアプローチするのかを事前に共有し合う時間を設けるのも効果的です。これにより、「一人でやっているわけではない」という安心感と、適度なプレッシャーが生まれます。
3. 短時間の「スプリント型コール」を導入する:集中力と効率を高める
長時間のアポ取りは、集中力が続かずモチベーションも低下しやすくなります。そこで、「スプリント型コール」という手法を導入しましょう。
スプリント型コールとは?
- 10分、15分、20分など、短い時間で区切ってアポ取りを実施する
- 1回のスプリント後に、短い休憩を挟んでリフレッシュする
- リアルタイムで成果を可視化し、競争意識を刺激する
この方法を導入することで、「ダラダラと時間だけが過ぎる」「途中で集中が切れる」といった問題を防ぎつつ、効率的にアポ取りを進めることができます。
4. モチベーションを保つ仕組みを作る
アポ取りに対して、営業担当者が持つ不満やストレスを減らすために、モチベーションを高める仕組みを取り入れることが重要です。
「ゲーム感覚」で競争を促す
アポ取りの成果をポイント制で可視化し、ランキングを発表することで、競争意識を刺激できます。たとえば:
- 1件アポを獲得するごとに◯ポイント
- 1日のトップ獲得者には特別ボーナス
といった形で、成果に応じた報酬や評価を与えることで、楽しみながら取り組めるようになります。
5. アポ取りの先にあるものをイメージさせる
アポ取りが好きな営業担当者はほとんどいません。しかし、アポ取りの先に「契約」や「成功体験」があることを理解させることが大切です。
リーダーは、「アポ取りを楽しむ方法を考える」だけではなく、「継続しないと売上が落ちる」ことを認識させることが重要です。
6. リーダー自ら手本を示す:一緒にアポ取りを実施する
営業リーダーが「やれ」と指示するだけでは、チームの士気は上がりません。リーダー自身が手本を示し、一緒にアポ取りを行うことが重要です。
例えば、
- チームに混ざってリーダー自身もコールをかける
- トップ営業がどのようにアポを取るのか実演する
といった取り組みをすることで、チームのモチベーションが大きく変わります。
7. 継続的なプロスペクティングが成功の鍵
アポ取りは一度やれば終わりではなく、継続しなければ意味がありません。営業チームのリーダーとして、チームがアポ取りをやり続ける仕組みを作り、実践し続けることが成功の鍵になります。
- アポ取りを日常の会話にする
- オンラインで集まる時間を作る
- 短時間のスプリント型コールを導入する
- ゲーム感覚で競争を促す
- リーダーが手本を示す
これらを実践すれば、営業チームのアポ取りが継続し、安定した成果を出せるようになるはずです。
(この記事はnoteで公開した内容を転載しています。元記事は以下から。)